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杏林生のまち歩き

杏林生がまち歩き! ~ジモトの魅力を発信~④
日本の天文学の聖地―「国立天文台」

2019.09.17

杏林大学総合政策学部の進邦ゼミが、地域の魅力的なスポットやお店、活躍されている人や団体をご紹介していくこの企画。

第4回は、三鷹市大沢にある天文学の国際的な研究拠点「国立天文台」を訪ね、天文情報センター広報普及員の高畠規子さんにお話を伺ってきました。
広い敷地に点在する歴史的な観測施設が、普段から一般に公開されています。雨空の平日でしたが、家族連れなどの見学客が訪れていました。

そもそも国立天文台とは?

実は、国立天文台にはとても長い正式名称があります。皆さんご存知でしょうか? 法人名まで含めた名前は「大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 国立天文台」。なんと漢字23文字です!
日本の天文学研究の中枢を担う機関として、ハワイにある有名な「すばる望遠鏡」など各地に観測施設を有しています。その司令塔として、様々な研究プロジェクトの推進や海外との連携を担っているのがこの三鷹キャンパスです。
年間の予算は約156億円(2019年度)、研究者や観測機器を作る技術者、広報や総務といった事務職員の方まで540名ほどのスタッフが、三鷹や各地で日本の天体・宇宙研究を支えています。
もともとは、1888(明治21)年に東京天文台として麻布に設置されました。都市化で夜空が明るくなり、天体観測が困難になってきたことから、1924(大正13)年に三鷹の今の場所に移転してきました。現在では三鷹の夜空も明るくなってしまいましたが、今でも太陽の観測はここで行われているそうです。

三鷹キャンパスの全景 [クレジット:国立天文台]

国立天文台のお仕事

私たちがまず質問してみたのは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)との違い。宇宙についての新しい発見のニュースでは、いつもどちらかの名前が出てきます。この素朴な疑問に対して高畠さんは、「JAXAは、『開発』という言葉があるように、宇宙に乗り出し、どう利用していくかという活動をしていて、その一環として天体の探査をしています」「これに対して、私たちも探査機を活用することもありますが、基本的には地上から観測し、そのデータをもとに研究を行う組織です」とわかりやすく説明してくれました。
地上からというと地味な印象がありますが、その規模は壮大です。
アルマ望遠鏡という国際プロジェクトでは、標高5,000メートルのチリのアタカマ高地を舞台に、山の手線内と同じくらいの広さに66台もの電波望遠鏡を展開して、惑星誕生のメカニズムや生命誕生につながる有機分子の存在を探っています。
また、ハワイに建設が予定されているTMT(Thirty Meter Telescope)という国際プロジェクトでは、直径30メートルの巨大な望遠鏡を建設し、誕生時の宇宙の姿を解き明かそうとしています。

アルマ望遠鏡 [Credit: Clem & Adri Bacri-Normier (wingsforscience.com)/ESO]

―『天文台の電話番』―

そして、壮大な取り組みと同じくらい興味深かったのが、高畠さんたち天文情報センターが行っている、国立天文台の広報や天文学の魅力の普及活動のお話です。
一般公開や学校などの団体見学への対応、WEBや広報誌での研究内容の発信、広報用映像の作成、全国各地の小中学校の教室に天文学者が訪れる出前授業「ふれあい天文学」の推進、「みたか太陽系ウォーク」など様々な地域連携企画の実施やイベントへの出展、発見などがあったときの記者会見の運営、さらには、一般の方々からの質問電話への対応まで! あまりの幅の広さに驚きました。
質問電話には、子どもたちや天文ファンの方からの疑問だけでなく、お天気キャスターさんや番組制作会社の人などが季節の天体の話題を質問してきたり、占い師の人が月齢を訊ねてきたり、「明るいあの星は何?UFOなの?」といったものまであるそうです。
様々なエピソードは、『天文台の電話番』という本にもなっています。

三鷹キャンパス 見学コースのご紹介!

お話を聞いた後は、一般公開されている施設を案内していただきました!
通常の見学でも、各所に音声ガイドが聴けるQRコードが掲示されているので、解説を聞きながら楽しむことができますよ!

① 第一赤道儀室

1921年に作られた三鷹キャンパスで最も古い観測施設で、太陽の黒点の観測に活躍した望遠鏡があります。動態保存されていて、実際に太陽黒点を観察できる日も用意されています。(国立天文台WEBサイトで日程を確認できます

② 太陽系ウォーク

みたかの秋のイベント「太陽系ウォーク」、実は天文台の構内でも楽しめます。太陽系の大きさを140億分の1に縮めて、およそ100メートルで太陽から各惑星までの距離を体感できます。パネルに書かれた140億分の1の地球のあまりの小ささに驚きました。

③ 天文台歴史館(大赤道儀室)

中に入ると、巨大なドームの中に設置された10メートルを超える大きさの望遠鏡に圧倒されます。設置されている65cm屈折望遠鏡は、現在は使われていませんが、屈折望遠鏡としては日本最大口径の大きさです。建物は鉄筋コンクリートですが、当時の技術で大きな可動式のドームを作るのが難しく、造船所技師の支援を得て、木造のドームが作られたそうです。

④ 4D2Uドームシアター

「4D」とは、空間3次元と時間1次元の4次元という意味だそうです。最新の観測や研究成果を活かしたムービーが多数用意されていて、月ごとにテーマを変え、一般の方対象の定例公開で紹介されています。定例公開は月4回行われ、観覧には事前の予約が必要です。

⑤ 展示室

すばる望遠鏡やアルマ望遠鏡、TMTをはじめとして、国立天文台が携わっている数々のプロジェクトの紹介や観測施設のミニチュアなどが展示されています。

上に紹介したもの以外にも、見学可能な歴史的観測施設等があり、豊かな森をお散歩コースとして楽しむ方もたくさんいらっしゃるそうです。

また、イベントとしては、口径50cmの公開望遠鏡による月2回の定例観望会、秋に開催される特別公開があります。特別公開は「三鷹・星と宇宙の日」として2日間にわたって開催され、様々なプログラムが用意されているほか、普段は見ることのできない施設の見学も可能で、毎年たくさんの来場者で賑わうそうです。

[今年度の情報]三鷹・星と宇宙の日2019
https://www.nao.ac.jp/open-day/2019/

みたか太陽系ウォークの楽しみ方

最後に、国立天文台が地域と連携して行っている、三鷹の秋の一大イベント「みたか太陽系ウォーク」についてお話を伺いました。前回の記事(第3回の記事にリンク)でも紹介しましたが、みたか太陽系ウォークは日本有数のスタンプラリーイベントで、三鷹駅を太陽、三鷹市内を太陽系に見立てて、市内の各スポットを地球や木星など惑星の軌道に合わせてエリア分けしたもので、そこを巡ることで太陽系の広さや各惑星までの距離を実感できる仕組みになっています。
「何よりも、楽しみながら、地域のお店やイベントを巡りながら、太陽系の広大さを実感することで、天文学に親しんでいただけたらと思っています」と高畠さん。「人それぞれ」の楽しみ方ができるのが魅力であり、人気が続いている理由ではないかと話してくれました。
毎年、小学生くらいのお友達同士、親子連れ、カップル、中高年のグループなど、幅広い世代がチャレンジして、自分のペースでスポットを回っています。コツコツとスタンプを集める人もいれば、一日で一気に回るという人もいる、コンプリートを目指してもいいし一部分だけ集めてもいい、そんな自由さが、支持されている理由のようです。
普段あまり外に出ることがない人にとっては、運動不足の解消に最適なイベントだと思います。今まで知らなかったという方も、ぜひ今年はチャレンジして天文学に親しんでください!

国立天文台

【住所】
三鷹市大沢2-21-1
【開見学時間】
午前10時から午後5時(入場は午後4時30分まで)
※年末年始期間(12月28日〜1月4日)を除く
【URL】
https://www.nao.ac.jp/
【TEL】
一般質問電話:0422-34-3688

このシリーズについて

アトレヴィ三鷹と連携している杏林大学の現役学生のみなさんが、地域の魅力的なスポット、ヒト・コト・モノを発信していく連載です。
担当するのは総合政策学部総合政策学科の進邦(しんぽう)ゼミのみなさん。
行政学や地方自治が専門の進邦徹夫教授のもと、地域でのフィールドスタディなどを通して、広くまちづくりや地域活性化について学んでいます。

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